社会福祉士の年収は高い?収入の決まり方と年収を上げる方法も解説
2023年05月29日
社会福祉士を目指したいと思ったとき、収入面に不安を感じて躊躇してしまう人がいるかもしれません。
福祉業界には、年収が低くなりがちというイメージが付きまといますが、実は社会福祉士の年収は全国の平均年収と比べて極端に低いわけではありません。また、近年の日本では福祉事業の需要が高まっており、今後年収が増える可能性も十分にあります。さらに、スキルアップやキャリアアップするなど、自らの努力や工夫次第で年収を上げることも可能です。
この記事では、社会福祉士の年収に焦点を当てて、収入の決まり方や年収を上げる方法などを解説します。社会福祉士を目指す人の参考にしていただける記事になっていますので、ご覧ください。
社会福祉士とは?
社会福祉士は「社会福祉及び介護福祉士法」により定められた国家資格です。身体・精神・経済的にハンディキャップを抱える人が、充実した生活を送れるように、相談援助を行います。
高齢者や障害者、生活困窮者など、社会福祉士のサポートを必要とする人はさまざまです。そのため、社会福祉士の就職先は、高齢者施設や障害者支援施設、医療機関など多岐にわたります。また、高齢化や生活困窮者増加の問題が、年々深刻化してきている日本の現状からも、今後さらに社会福祉士の需要が高まることは想像に難くありません。
就職に強く、将来性がある社会福祉士は、いま注目すべき資格といえるでしょう。
社会福祉士の平均年収は403万円!
社会福祉振興・試験センターが実施した調査により、令和元年における社会福祉士の平均年収は403万円であることがわかりました。国税庁から発表されている日本全国の平均年収が436万円となっていることから、社会福祉士の平均年収は、全国平均から見ても極端に低いわけではないといえます。
●社会福祉士の平均年収(令和元年):403万円
●日本全国の平均年収(令和元年):436万円
また、社会福祉振興・試験センターでは、令和元年以前についても同調査を行っており、平成27年における社会福祉士の平均年収は377万円であると発表しています。令和元年までの5年間で、社会福祉士の平均年収は26万円多くなっているわけです。需要の高まりに応じて社会福祉士の年収が増えてきていると考えられるでしょう。
●平成27年の社会福祉士の平均年収:377万円
●令和元年の社会福祉士の平均年収:403万円
福祉業界には年収が低いというイメージが付きまといますが、上記のデータからわかる通り、社会福祉士の年収は極端に低いわけではありません。また、今後の需要の高まりに応じて年収が増える可能性も十分に考えられます。
さらに、社会福祉士には勤務先を変える、キャリアアップするなど、年収をあげる方法もあります。「社会福祉士が年収を上げる方法は?」の章で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
社会福祉士の年収の決まり方は?
社会福祉士と一口にいっても、人によって年収には差があります。社会福祉士の年収は、以下の要素により決まるからです。
●勤務先
●勤続年数
●雇用形態
●役職
●勤務地域
より高い年収を得るために、社会福祉士の年収の決まり方について理解しておきましょう。
引き続き、上記の各要素について詳しく解説しますので、ご覧ください。
■勤務先
どんな施設や事業所に勤務するかは、社会福祉士の年収を左右するポイントの1つです。
社会福祉士の代表的な勤務先として、介護サービスを提供する施設や事業所があげられます。以下は、厚生労働省により発表された、介護サービス種類別の平均月収です。
【介護サービス種別、社会福祉士の平均月収】
●訪問介護事業所:368,570円
●通所介護事業所:315,670円
●通所リハビリテーション事業所:363,660円
●特定施設入居者生活介護事業所:375,990円
●認知症対応型共同生活介護事業所:397,800円
訪問サービスや通所サービスよりも入居型サービスを提供している施設のほうが、月収が高くなっていることがわかります。 理由としては、入居型施設のほうが利用者の介護度が高めで、求められる介護技術が高くなる傾向にあることや、 夜勤手当がつくことなどが考えられます。
また、社会福祉士は、公務員試験に合格して公務員として勤務することも可能です。主な勤務先は役所の福祉課や児童相談所、公立病院、保健センターなどです。
公務員として勤務すると、公務員給与規定に準じた収入を得られます。また、民間施設と比べて通勤手当や住居手当をはじめとする福利厚生が充実しているのも嬉しいポイントです。これらの福利厚生は、基本給とは別に支給されるものなので、勤続年数が浅いうちから安定した収入を得られるでしょう。
■勤続年数
勤続年数により年収が変化するのも、社会福祉士の大きな特徴です。
社会福祉士の年代別年収は以下のように推定されています。
【社会福祉士の年代別年収】
●20代:270〜330万円程度
●30代:370〜420万円程度
●40代:470〜530万円程度
年齢が上がるとともに、年収も増えていることがわかります。20代→30代→40代と勤続年数が10年増えるごとに、おおよそ100万円ずつ収入が増えており、安定した昇給が望めるでしょう。
なお、社会福祉士の推定初任給は以下の通りです。
【社会福祉士の初任給】
●大卒:270〜310万円程度
●短大・専門卒:230〜280万円程度
月収にすると、大卒の場合17〜20万円程度、短大・専門卒の場合15〜18万円程度となります。
■雇用形態
社会福祉士の雇用形態は、正規職員、契約職員、パートタイム職員、派遣職員などさまざまです。雇用形態によっても、年収は変化します。
以下は、社会福祉振興・試験センターから発表されている、社会福祉士の雇用形態別年収をまとめたものです。
【社会福祉士の雇用形態別年収】
●正規職員:300万円以上400万円未満の人が多い
●契約職員:200万円以上300万円未満の人が多い
●パートタイム職員:103万円未満の人が多い
●派遣職員:103万円未満の人が多い
もちろん、正規職員とパートタイム職員とでは、勤務時間や業務内容に違いがあると考えられます。年収と勤務時間などを天秤にかけて、雇用形態を検討していく必要があるでしょう。
■役職
ほかの多くの職種と同じく、社会福祉士も、どういった職位で仕事をしているかにより年収が大きく異なります。
社会福祉士の役職としては、主任や相談部門の責任者、施設長、経営者などがあげられ、上位の役職になるほど高収入を得られるのが一般的です。特に、経営者の平均年収は高く、550万円程度になるといわれています。
■勤務地域
厚生労働省の職業情報提供サイトによると、社会福祉士を含む福祉ソーシャルワーカーの、令和元年における地域別年収は以下の通りです。
●全国:403万円
●東京都:449万円
●神奈川県:425万円
●千葉県:424万円
●埼玉県:431万円
●茨城県:411万円
●栃木県:395万円
●群馬県:465万円
関東地方のほとんどの都道府県で、全国平均の403万円を超える年収となっています。特に、東京都では全国平均より45万円程度、群馬県では60万円程度も高くなっており、地域を選んで働くことで収入アップを狙える可能性があるといえるでしょう。
社会福祉士が年収を上げる方法は?
社会福祉士の年収は、勤務先や役職、雇用形態などにより違いがあります。そのため、以下の方法で年収アップを目指すことも可能です。
●資格を取得する
●転職する
●キャリアアップする
●独立開業する
●副業をする
引き続き、上記の各方法について詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
■資格を取得する
社会福祉士の主な仕事である相談援助業務は、無資格でも行うことが可能です。しかし、社会福祉士の有資格者のほうが、年収は高くなる傾向にあります。
国家資格である社会福祉士資格は、専門的知識を持っていることの証明になります。そのため、社会福祉士資格を保有していると、任される業務の幅が広くなる、相談者からの信頼を得やすくなるなどさまざまなメリットを享受できます。
当然、そのようなメリットを持つ社会福祉士の有資格者を、優先的に採用したいと考える施設や事業所は多く、希望の職場に就職できる可能性を高められます。また、採用後も、社会福祉士の有資格者に対して資格手当を支給する施設や事業所もあるため、収入アップが見込めます。
さらに、社会福祉士には「キャリアコンサルタント」や「精神保健福祉士」など、相性の良い資格もあります。これらの資格をあわせて取得すれば、対応できる業務の幅が広がり、さらなる収入アップも期待できるでしょう。社会福祉士と相性の良い資格については「社会福祉士と相性が良い資格は?」の章で紹介していますので、参考にしてみてください。
■転職する
社会福祉士の年収は、勤務先や勤務地域ごとに差があります。そのため、転職することで年収を上げられる可能性があります。
勤務先でいえば、入居型サービスを提供している施設のほうが、月収が高くなるためおすすめです。また、公務員試験に挑戦して合格すれば、公務員として安定した収入を得られるようになるでしょう。
勤務地域については、平均年収が高めの地域に転職するのがおすすめです。引っ越しを伴うこともあるため、現実的には難しいかもしれませんが、可能な範囲で検討してみると良いでしょう。
■キャリアアップする
一般的に、役職が上がるごとに社会福祉士の年収も高くなります。
主任や相談部門の責任者への昇進は、勤続年数や施設への貢献度などによって、十分実現可能です。施設長や事務所管理者になるには、組織を管理するための高い能力が求められますが、努力次第で目指すこともできるでしょう。
基本的に、国家資格である社会福祉士の有資格者は、無資格の職員に比べて昇進面において有利になると考えられます。キャリアアップによる年収増も目指しやすいはずです。
■独立開業する
社会福祉士には、施設や事業所などに雇われて働く以外に、自分で社会福祉士事務所を立ち上げ、独立して働くという道もあります。
独立すると、成年後見人や学校の非常勤講師などのさまざまな仕事を受けられるようになるため、働き方次第で高収入を目指せるでしょう。
ただし、独立開業するためには、社会福祉士としての確かな知識や技術があることはもちろん、経営力をはじめとするいろいろな能力が必要になります。また、スムーズに仕事を受注し、進めていくために、地域のあらゆる機関とのネットワークを築いておくことも大切です。
上記の理由から、社会福祉士試験に合格してすぐの人や、社会福祉士としての経験が浅い人が、独立開業することは現実的ではありません。施設で働きながら経験を積み、人脈を作り、将来の独立に向けて準備していくことが必要です。
■副業をする
空いた時間を利用して副業に取り組むことも、年収を上げる方法としておすすめです。
社会福祉士の知識や経験を活かせる副業としては、成年後見人や介護認定審査会の外部委員、大学や基礎研修の講師などがあげられます。仕事を受けるためには、研修を受講する必要があったり、活動実績が必要になったりするためハードルが高いと思うかもしれませんが、その分やりがいも感じられるでしょう。
もしも、上記の副業はハードルが高いと思う場合は、Webライターに挑戦してみるのもおすすめです。依頼内容によっては、仕事から帰った後や休日の作業のみで完了するものもあります。また、社会福祉士としての経験や知識を活かして、福祉関係の文章執筆依頼を受けられれば、高い報酬も狙えるでしょう。
いずれの副業をするにせよ、副業をする旨は、事前に本業の職場に伝えておくことをおすすめします。職場によっては、副業が原則禁止とされていることもあるため、トラブルを避けるためにも、前もって了承を得ておきましょう。
社会福祉士の将来性は?
社会福祉士は将来性のある仕事といえるでしょう。
高齢者や生活困窮者、ひとり親家庭などが増加しているという社会的背景から、福祉事業の需要は年々高まってきています。しかし、その一方で、福祉業界では深刻な人手不足の問題が起きており、特に専門的スキルを持った人材確保の必要性が強く叫ばれています。
福祉関係の資格の中でも上位資格であり、専門的スキルを持っていることの証明になる社会福祉士の需要は高く、今後もさらに必要とされるようになることは想像に難くありません。需要の高まりに応じて給料が引き上げられることも十分に考えられ、収入面においても将来性があるといえるでしょう。
また、社会福祉士の仕事には、技術革新により淘汰されにくいという強みもあります。
近年、AIの発達が目覚ましく、将来的に人間の仕事の多くが取って代わられるのではないかと予想されています。しかし、社会福祉士の仕事では、人と人とのコミュニケーションが必要不可欠です。高齢者や障害者などの悩みに寄り添い、信頼関係を築いていくことは、AIには難しいでしょう。生身の人間にしかできないという意味でも、社会福祉士は将来性のある仕事といえます。
社会福祉士と相性が良い資格は?
社会福祉士には、一緒に取得することでスキルアップやキャリアアップに役立つ資格があります。年収を増やすことにも繋がる可能性があるため、余裕がある人はダブルライセンスについても検討してみましょう。
【社会福祉士と相性が良い資格】
●キャリアコンサルタント
●介護福祉士
●精神保健福祉士
●介護支援専門員(ケアマネージャー)
引き続き、上記の各資格について、内容や社会福祉士と相性が良い理由などを解説していきます。参考にしてみてください。
■キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、2016年施行の職業能力開発促進法において定められた国家資格です。その人にとって望ましい職業選択やキャリア開発を支援できます。
ハンディキャップのある人にとって、その人らしい働き方を見つけたり、キャリアを築いたりするのはとても重要なことです。そして、残念ながら難しいことでもあります。
社会福祉士として「その人らしい生活」が送れるように支援し、キャリアコンサルタントとして「その人らしい就労」を提案することで、より踏み込んだ支援が可能になるでしょう。
日本医歯薬専門学校では、社会福祉とキャリアコンサルタントのダブルライセンスを目指せる学科をご用意しています(※)。以下のリンクから詳細をご覧ください。
■介護福祉士
介護福祉士は「社会福祉及び介護福祉法」により定められた国家資格です。介護福祉士資格を持っていると、介護に関する知識や技術を習得済みであると証明できます。
社会福祉士の主な業務は、福祉の現場において、支援を必要とする人の相談に乗ることです。一方、介護福祉士は、介護施設や訪問介護事業所などで食事・排泄・入浴・移動の介助をするなど、直接的に介護に携わります。
社会福祉士と介護福祉士の2つの資格を取得すれば、相談援助者としてだけでなく、直接的な介護者としてハンディキャップのある人を支援できるでしょう。
■精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神保健福祉法の施行に伴い生まれた国家資格です。精神的な障害や心に病を抱える人がスムーズに生活を送れるように、相談援助や社会参加の手助けなどを行います。
社会福祉士と精神保健福祉士が大きく違うのは、どんな人を支援対象とするかです。社会福祉士があらゆるハンディキャップを抱える人の支援を行うのに対し、精神保健福祉士は精神障害や心の病を抱える人を支援します。精神保健福祉士は対象者が限定的であることから、精神障害や心の病を抱える人に対してより専門的に関わることが可能です。
社会福祉士と精神保健福祉士の試験科目には共通のものがあるため、社会福祉士が精神福祉士を目指すのは比較的簡単といわれています。社会福祉士の仕事が忙しく、勉強時間を取りにくいという人にもおすすめの資格です。
■介護支援専門員(ケアマネージャー)
介護支援専門員(ケアマネージャー)の主な業務は、介護を必要とする人が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)を作ることです。
介護支援専門員は国家資格ではありませんが、受験するためには一定の職種での実務経験が必要なため、難関資格の1つに数えられます。
実は、介護支援専門員の受験資格である、実務経験が必要な「一定の職種」には社会福祉士も含まれます。そのため、社会福祉にとっては取得を目指しやすく、相性の良い資格といえるでしょう。
社会福祉士をめざせる「日本医歯薬専門学校」
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●目指せるダブルライセンス
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引き続き、上記の各特徴について簡単に紹介します。
■目指せるダブルライセンス
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生活面での支援だけでなく、就労支援も行える、相談支援のスペシャリストを目指します。
■医療現場の就職に役立つカリキュラム
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■万全のサポート体制
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スキマ時間を活用した効率的な試験対策や、幅広い知識・技術の習得が可能です。
まとめ
高齢者や生活困窮者が年々増加してきている日本において、今後も社会福祉士の需要は高まっていくと予想されます。需要の高まりに伴い、年収も増えていく可能性が十分にあるでしょう。
今後、将来性のある社会福祉士を目指す人は増えるかもしれませんが、実は社会福祉士試験の合格率は30%前後と決して高くありません。しっかりとしたサポートのもとで、効率よく学習を進められるかが、合格を左右するポイントの1つになるでしょう。
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