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キャリアコンサルタント国家資格の合格率・難易度はどれくらい?合格のための勉強法も公開

求職者のよりよいキャリア形成のお手伝いをミッションに、カウンセリングにもとづくアドバイスを通じて最適なキャリアプランを求職者とともに考えていく「キャリアコンサルタント」。
このキャリアコンサルタントは、2016年4月より職業能力開発促進法において国家資格と定められ、近年、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野でキャリアコンサルタントの国家資格を有する人材が活躍しています。
今回は、そんなキャリアコンサルタントになるための国家試験に焦点を当て、試験の詳細や合格率、合格率するための具体的な勉強法などを中心とした解説を行っていくことにします。

 

 

1)キャリアコンサルタントとは

2)キャリアコンサルタントは国家資格

3)キャリアコンサルタント試験についての予備知識

4)キャリアコンサルタント試験とは?

5)キャリアコンサルタントの合格率

6)効果的な勉強方法は?

キャリアコンサルタントとは

労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言および指導を行うことを使命とするキャリアコンサルタント。
転職希望者や求職者、就職活動を行う学生などを対象に、自身の適性や能力、興味への気づきを促しながら自己理解を深めてもらい、同時に社会や企業内にある仕事についての理解を促していくことで、自身に合った仕事を主体的に選択できるよう導いていくことがキャリアコンサルタントの役目です。

 

求職者一人ひとりにとって描くキャリアや興味のある仕事は異なります。
それをキャリアコンサルティングを通じて明確にし、その人に合った分野や仕事を一緒に考え、目指すキャリア実現に向けて伴走していくキャリアコンサルタントへのニーズは、コロナ禍による社会構造の変化や労働環境の変化などを背景に、近年、さまざまな分野で急速に拡大しています。

 

そしてこのキャリアコンサルタントには国家資格が定められており、「キャリアコンサルタント試験」に合格し、後述するキャリアコンサルタント名簿への登録を行うことで、はじめて「キャリアコンサルタント」を名乗ることができるようになります。

 

以降で、そんなキャリアコンサルタントの国家試験や受験資格について詳しく解説を行っていくことにします。

 

キャリアコンサルタントは国家資格

 

■キャリアコンサルタントは厚労省認定の国家資格
先にも述べたように、このキャリアコンサルタントには国家資格が設定されています。
このキャリアコンサルタントの資格は、2016年4月施行の職業能力開発促進法において国家資格と定められた厚生労働省認定の国家資格であり、それに合格しなければ「キャリアコンサルタント」を名乗ることができません(厳密に言えば、合格後、「キャリアコンサルタント名簿」への登録が必要)。

 

よって、まずは「国家資格 キャリアコンサルタント試験」を受験することが、キャリアコンサルタントへの第一歩となります。

 

この国家資格キャリアコンサルタントは厚生労働省認定の国家資格であるだけに社会的な信用や評価も高く、この資格を取得することで、キャリアコンサルタントへの道が一気に拓けることになります。

 

キャリアコンサルタント試験についての予備知識

 

■キャリアコンサルタント試験を受けるには「受験資格」がある
キャリアコンサルタントの国家資格を得るためには、厚生労働大臣の登録認可を受けた『特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』および『特定非営利活動法人日本キャリア開発協会』いずれかの登録試験機関が実施する試験を受験する必要があります。

 

ここで注意が必要なのは、「いきなりキャリアコンサルタント試験を受けることはできない」ということ。

 

実はこのキャリアコンサルタント試験を受験するにあたっては、以下の「定められた条件」があり、それを満たしている必要があるのです。

 

~キャリアコンサルタント試験の受験資格~
①厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
②労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
③技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
④上記の項目と同等以上の能力を有する者
※厚生労働省 「キャリアコンサルタント試験の受験資格」より抜粋

 

これら定められた条件の中のいずれかに合致することで、キャリアコンサルタント試験を受験できるようになります。

 

①の「厚生労働大臣が認定する講習」とは、受験要件を満たす150時間の知識・技能講習からなる講習のことで、「キャリアコンサルタント養成講座」という名称で呼ばれています。この「キャリアコンサルタント養成講座」は受験資格を得る上でとても重要なものであり、キャリアコンサルティングの実務経験や関連資格を持たない人にとっては必ず受講しないとならないものであることから、後ほど詳しく解説を行ないます。

 

②の「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者」とは、労働者または求職者を対象に、職業選択に関する相談対応業務を3年以上経験していた人を意味します。ただし、業務の範囲が情報提供だけの場合や、セミナーや研修の運営に関わるだけにとどまる経験の場合は対象となりません。あくまでもキャリアコンサルティング形式で労働者や求職者の相談・助言業務に携わっていた場合が条件となります。

 

③の「技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者」とは、「国家資格 キャリアコンサルタント」の上位資格である「キャリアコンサルティング技能検定」に合格した人のことを指します。この「キャリアコンサルティング技能検定」は「キャリアコンサルティング技能検定 2級」と「キャリアコンサルティング技能検定 1級」の2つがあり、「2級」は熟練レベル、「1級」は指導レベルという位置づけとなっています。「国家資格 キャリアコンサルタント」は、一定のキャリアコンサルティング技能と知識を有したうえで、法律に則って守秘義務を厳守の上、継続的に技能・知識を学習・研鑽している専門家であることを証明する資格であるのに対し、「キャリアコンサルティング技能検定」は高いレべルのキャリアコンサルティング技能や知識を身につけていることを証明する資格である点で両者は異なります。また、 「国家資格 キャリアコンサルタント」が国家資格であるのに対し、「キャリアコンサルティング技能検定」は国家検定である点も異なる点の一つです。

 

■未経験の人は「キャリアコンサルタント養成講座」を受講することで受験資格が得られる
①~③の受験資格のうち、②および③はキャリアコンサルティングに関連した実務経験を有する人間が対象となるので、学生の方や業界未経験の方は必然的に①の「キャリアコンサルタント養成講座」を受講し、受験資格を得る必要があります。

 

この「キャリアコンサルタント養成講座」は、厚生労働省の認定を受けた養成機関によって実施されています。北は北海道から南は沖縄まで全国の機関で実施されているので、 わざわざ主要都市まで出なくても全国で統一されたレベルの講座を受講することができるほか、通学とオンラインいずれかを選べるので、「忙しくて通学するのが難しい」「住まいの立地的な問題で、養成講座に通学するのが難しい」「人が大勢集まる環境が苦手」という方はオンライン講座を選ぶことができます。

 

そんなキャリアコンサルタント養成講座の受講時間は厚生労働省により150時間以上と定められており、養成機関はそれにしたがい、カリキュラムや受講時間を組み立てています。

 

『厚生労働省が定めたキャリア・コンサルタント養成に係るモデルカリキュラム』
(訓練時間の目安)
①キャリア・コンサルティングの社会的意義に対する理解
⇒10時間程度
②キャリア・コンサルティングを行うための基本的知識
⇒25時間程度
③キャリア・コンサルティングの相談実施において必要なスキル
⇒講義:15時間以上、演習:45時間以上
④キャリア・コンサルティングの包括的な推進、効果的実施に係る能力
⇒講義:10時間以上、演習:5時間以上
⑤その他
⇒10時間程度
計:130時間程度

 

このモデルをベースに、厚生労働省の認可を受けた各養成機関はカリキュラムを考え、そこに予想されるニーズを踏まえた独自のサービスや授業スタイルを組み込み、講座を組み立てています。

 

また、キャリアコンサルタント養成講座は「講義」と「演習」で構成されており、双方を規定時間受講し修了することでキャリアコンサルタント試験を受験する資格を得ることができます。
「講義」とはその名の通り、講師の説明を聞いたり見て学ぶ形式の授業です。
実際に通学してクラスメイトたちと授業を受ける形式から、ZoomなどWEB会議ツールを用いたオンライン形式授業などが中心ですが、養成機関によってはeラーニング&テキストで自習を行う形式の授業などがあります。「演習」とは、習ったことを実際に試すなどして学ぶ形式の授業です。
キャリアコンサルタント養成講座の場合は、主にロールプレイ形式でキャリアコンサルティングを実践していくことで技術や理解を深めていきます。

 

■自分に合ったキャリアコンサルタント養成講座を見つけることが重要
キャリアコンサルタント養成講座は北は北海道から南は九州・沖縄まで全国で実施されており、通学を希望する方の場合は自分の住む街から通いやすい講座を選べるようになっています。
また、養成機関ごとに授業の特色が異なっており、その中から自分の学習スタイルに合ったものを選ぶことで、効率的にキャリアコンサルタントの基礎知識を身につけていくことができるようになります。
通学(教室受講)・オンラインの選択が行えることはもちろん、交通費支援のある講座、受講料・教材費などの支払いに応じたポイント還元や割引支援を用意する講座、さらには他の資格と同時取得が可能な講座など、養成機関ごとに特色が変わるので、それぞれの特色をしっかりと理解し、自分の学習スタイルと照らし合わせることを心がけてください。
また、入学金や受講料などの費用も養成機関ごとに異なるので、こういった学習コストも講座を選ぶ上でのポイントとするといいでしょう。

 

自分に最適なキャリアコンサルタント養成講座を選ぶ上では、厚生労働大臣が認定・指定するキャリアコンサルタント養成講座を検索する「キャリアコンサルタント講習検索サイト」というものがあるので、試しに利用してみるといいでしょう。
開催地やオンライン講座の有無、講習区分(養成コースまたは資格取得後の更新目的)といった諸条件を指定の上、検索を行うことで、全国のキャリアコンサルタント養成機関の中から自分に合ったものをピックアップしてくれます。

キャリアコンサルタント講習検索サイト

 

■キャリアコンサルタント養成講習を受講できる専門学校もある
キャリアコンサルタント学科を設けるような専門学校の中には、厚生労働大臣認定の養成機関と提携の上、授業の一環としてキャリアコンサルタント養成講習を受講できる学校もあり、こうした専門学校を選ぶことで受験資格を得るのも一つの手です。

 

たとえば日本医歯薬専門学校の「社会福祉士・キャリアコンサルタント養成学科」(2年制)では、1年生の8~11月に提携教育機関のキャリアコンサルタント養成講習を受講するカリキュラムが用意されており、それを通じて提携教育機関のキャリアコンサルタント養成講習を受講しつつカウンセリング技術やコンサルティング演習を中心にキャリアコンサルタントの理解を深めることができるようになっています。

 

同校の「社会福祉士・キャリアコンサルタント養成学科」場合は2年制なので、キャリア相談に関する実務経験がない人にとっては「職業生活設計又は職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者」という条件よりも短い期間で国家資格キャリアコンサルタント試験の受験資格を得ることができます。未経験の方にとっては、現状この方法が最短ルートだと言えるでしょう。

 

こうした専門学校を選ぶことで、キャリアコンサルタントとしての基礎知識を学びつつ、
提携教育機関のキャリアコンサルタント養成講習を通じて効率よくキャリアコンサルタント国家試験の受験資格を得ることができます。

 

キャリアコンサルタント試験とは

 

キャリアコンサルタント養成講座を受講・修了することでキャリアコンサルタント試験である「国家資格キャリアコンサルタント試験」の受験資格を得ることができるようになります。

 

■キャリアコンサルタント試験の概要
「国家資格キャリアコンサルタント試験」は厚生労働大臣の登録認可を受けた『特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』および『特定非営利活動法人日本キャリア開発協会』という2つの登録試験機関によって年3回(毎年3月、7月、11月いずれかの月に実施)実施されている国家試験です。

 

試験は「学科試験」と「実技試験」の2つに分かれており、それぞれ別日程で実施されます。

 

「学科試験」「実技試験」ともに過去のキャリアコンサルタント試験の出題範囲が公開されており、それを把握・理解することで効率的に試験にパスするための勉強を行うことができます。

 

以下に公開されている過去の出題範囲を記載します。

 

《キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目 2020年度》
┌【学科試験】
「学科試験」は四肢択一のマークシート形式で50問出題され、100点満点(2点×50問)で70点以上の得点で合格となります。
Ⅰ キャリアコンサルティングの社会的意義
 ①社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
 ②キャリアコンサルティングの役割の理解

 

Ⅱ キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
 ①キャリアに関する理論
 ②カウンセリングに関する理論
 ③職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
 ④企業におけるキャリア形成支援の知識
 ⑤労働市場の知識
 ⑥労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
 ⑦学校教育制度及びキャリア教育の知識
 ⑧メンタルヘルスの知識
 ⑨中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
 ⑩人生の転機の知識
 ⑪個人の多様な特性の知識

 

Ⅲ キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
 ①基本的な技能
  (1) カウンセリングの技能
  (2)グループアプローチの技能
  (3)キャリアシートの作成指導及び活用の技能
  (4)相談過程全体の進行の管理に関する技能
 ②相談過程において必要な技能
  (1)相談場面の設定
  (2)自己理解の支援
 ③仕事の理解の支援
 ④自己啓発の支援
 ⑤意思決定の支援
 ⑥方策の実行の支援
 ⑦新たな仕事への適応の支援
 ⑧相談過程の総括

 

Ⅳ キャリアコンサルタントの倫理と行動
 ① キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動
 ②環境への働きかけの認識及び実践
 ③ネットワークの認識及び実践
  (1)ネットワークの重要性の認識及び形成
  (2)専門機関への紹介及び専門家への照会
 ④自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
  (1)自己研鑽
  (2)スーパービジョン

 ⑤キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
  (1)活動範囲・限界の理解
  (2)守秘義務の遵守
  (3)倫理規定の厳守
  (4)キャリアコンサルタントとしての姿勢

 

「実技試験」は受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行う『ロールプレイ形式』と、自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える『口頭試問』の2つからなっており、150点満点中90点以上の得点で合格となります。
この「実技試験」も過去の試験からの出題範囲が公開されており、「学科試験」同様、公開されている内容にもとづき勉強を行うことで、効率的に試験対策を行うことができます。

 

《キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目 2020年度》

┌【実技試験】
Ⅰ キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
 ①基本的技能
  ・カウンセリングの技能
  ・グループアプローチの技能
  ・キャリアシートの作成指導及び活用の技能
  ・相談過程全体の進行の管理に関する技能
 ②相談過程において必要な技能
  ・相談場面の設定
  ・自己理解への支援
  ・仕事理解への支援
  ・自己啓発の支援
  ・意思決定の支援
  ・方策の実行の支援
  ・新たな仕事への適応の支援
  ・相談過程の総括

 

「学科試験」「実技試験」ともに公開されている過去の出題範囲を踏まえた勉強を行うことで、試験に出題される可能性の高い知識をピンポイントに身につけていくことが可能となります。試験勉強を行うにあたっては、これを利用しない手はないでしょう。

 

■2つの試験機関の違いは?
ここで留意しておきたいのが「試験を実施する登録試験機関によって実技試験における出題方法や面接における評価基準が異なる」という点です。

 

先に「キャリアコンサルタント試験は『特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』(CC協議会)および『特定非営利活動法人日本キャリア開発協会』(JCDA)という厚生労働大臣の登録認可を受けた2つの登録試験機関によって実施されており、受験時にどちらかを選ぶことができる」と書きましたが、実はこの2つの登録試験機関は、それぞれ特徴が少し異なっており、キャリアコンサルタント試験対策の勉強を行ったり出願を行うにあたっては、この特徴とそれにもとづく出題、評価基準を把握・理解しておくことがとても重要です。
ちなみに「学科試験」に関してはどちらの登録試験機関でも同じ問題が出題されるので双方で差異はありません。異なるのは「実技試験」であり、登録試験機関によって出題方法や評価基準が違うので、その特性を踏まえ、自分に合った方の登録試験機関を選ぶようにしましょう。

 

ということで、これら2つの登録試験機関の特徴についても解説を行っておくことにしましょう。

 

『特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』(CC協議会)
┌【概要】
特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会は2004年(平成16年)に「能力評価試験を行う団体及びキャリアコンサルティングの実践・研究等に関わる団体が相互に協力して、キャリアコンサルタントの資質確保活動とキャリアコンサルティングの普及啓発活動を行うこと」を目的に設立された登録試験機関です。
┌【出題形式】
・ロールプレイ
・口頭試問
┌【具体的には】
・ロールプレイ(15分)
実際のキャリアコンサルティング場面を想定し、「面談開始から最初の15分」という設定で、受験者がキャリアコンサルタント役となり、キャリアコンサルティングを行います。
ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢を意識し、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを重視する傾向にあります。
・口頭試問(5分)
口頭試問 とは面接官からの質問に口頭で答えていく形式の試験です。
CC協議会の過去の出題例を見ると、以下のような口頭試問が出題されています。
・できたこと、できなかったこと
・相談者の相談目的・内容を的確にキャッチできたか(主訴)
・キャリアコンサルタントから見たクライアントの問題・課題(見立て)
・今後の具体的な支援をどう行うか
といった「いかに相談者が自分”のキャリアを客観的に見つめ直し、それを踏まえてどう具体的な支援を行っていくか」という”自己評価”に重きを置いた出題傾向を見て取ることができます。

 

『特定非営利活動法人日本キャリア開発協会』(JCDA)
┌【概要】
特定非営利活動法人日本キャリア開発協会は、「キャリアカウンセリング機能を社会システムとして具現化する」というビジョンのもと設立され、キャリア支援の領域で約2万人の会員を擁する国内最大級のNPO法人です。2016年に国家資格キャリアコンサルタント登録試験機関および更新講習実施指定機関として厚生労働省より登録認定され、国家資格キャリアコンサルタント試験を実施しています。
┌【出題形式】
・ロールプレイ
・口頭試問
┌【具体的には】
・ロールプレイ(15分)
ロールプレイは実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、「面談開始から最初の15分間」という設定で実施されます。
出題傾向としては、
ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がけることが重視されます。
基本的にはCC協議会と同様の内容だと言えます。
・口頭試問(5分)
「自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える」を主旨とした試問が出題されます。内容としてはCC協議会同様「できたこと、できなかったこと」「主訴・見立て」「今後の具体的な支援」といった試問をベースとなりますが、JCDAの場合は「受験生が発した言葉に対しての質問や掘り下げ」がより強い傾向にあるようです。
また、「取得した国家資格をどのように活かしていくのか」といった、キャリアコンサルタントとしてのキャリアプランなどについての質問を投げかけられる傾向が強いようです。

 

このように、登録試験機関ごとの特徴による出題傾向の違いを頭に入れておくと、試験をより有利に進めていくことができるようになります。

 

 

キャリアコンサルタントの合格率

 

「キャリアコンサルタント試験の合格率」も大いに気になるポイントの一つでしょう。
キャリアコンサルタント試験を管轄する厚生労働省では、キャリアコンサルタント試験がスタートした平成28年8月から直近の令和5年3月までの間に実施された第1回~第22回までのキャリアコンサルタント試験の結果を公開しており、その中に合格率に関する記載があります。

 

ここでは過去10回分の合格率を記載の上、それを元に解説を進めていくことにします。

 

■過去のキャリアコンサルタント試験の合格率

第13回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和元年11月)
┌【学科試験】
受験者数:3,945人
合格者数:2,805人
合格率:71.7%
┌【実技試験】
受験者数:4,060人
合格者数:2,489人
合格率:61.3%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,281人
合格者数:1,772人
合格率:54.0%

 

第14回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和2年3月)
┌【学科試験】
受験者数:3,329人
合格者数:2,237人
合格率:67.2%
┌【実技試験】
受験者数:3,650人
合格者数:2,407人
合格率:65.9%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:2,772人
合格者数:1,533人
合格率:55.3%

 

第15回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和2年11月)
┌【学科試験】
受験者数:6,033人
合格者数:4,526人
合格率:75.0%
┌【実技試験】
受験者数:6,026人
合格者数:3,799人
合格率:63.0%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:5,148人
合格者数:2,849人
合格率:55.3%

 

第16回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和2年11月)
┌【学科試験】
受験者数:4,143人
合格者数:2,678人
合格率:64.6%
┌【実技試験】
受験者数:4,692人
合格者数:2,873人
合格率:61.2%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,337人
合格者数:1,670人
合格率:50.0%

 

第17回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和3年6~7月)
┌【学科試験】
受験者数:3,758人
合格者数:2,136人
合格率:56.8%
┌【実技試験】
受験者数:3,967人
合格者数:2,303人
合格率:58.1%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:2,910人
合格者数:1,260人
合格率:43.3%

 

第18回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和3年10~11月)
┌【学科試験】
受験者数:4,652人
合格者数:3,771人
合格率:81.1%
┌【実技試験】
受験者数:4,604人
合格者数:2,924人
合格率:63.5%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,638人
合格者数:2,187人
合格率:60.1%

 

第19回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和4年3月)
┌【学科試験】
受験者数:4,278人
合格者数:2,637人
合格率:61.6%
┌【実技試験】
受験者数:4,875人
合格者数:2,978人
合格率:61.1%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,697人
合格者数:1,795人
合格率:48.6%

 

第20回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和4年7月)
┌【学科試験】
受験者数:3,998人
合格者数:3,115人
合格率:77.9%
┌【実技試験】
受験者数:4,128人
合格者数:2,483人
合格率:60.2%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,073人
合格者数:1,686人
合格率:54.9%

 

第21回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和4年11月)
┌【学科試験】
受験者数:4,158人
合格者数:2,567人
合格率:61.7%
┌【実技試験】
受験者数:4,756人
合格者数:2,743人
合格率:57.7%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,489人
合格者数:1,637人
合格率:46.9%

 

第22回キャリアコンサルタント試験結果の概要 (令和5年3月)
┌【学科試験】
受験者数:4,797人
合格者数:3,943人
合格率:82.2%
┌【実技試験】
受験者数:5,101人
合格者数:3,295人
合格率:64.6%
┌【学科、実技試験同時受験者】
受験者数:3,942人
合格者数:2,338人
合格率:59.3%

 

データは「学科試験のみを受験した人」「実技試験のみを受験した人」「学科、実技試験を同時受験した人】の3つに分かれており、「学科試験のみを受験した人」の直近10回の平均合格率は69.9%、「実技試験のみを受験した人」の直近10回の平均合格率は61.6%、「学科、実技試験を同時受験した人」の直近10回の平均合格率は52.7%となっています。

 

■決して簡単な試験ではないが、極端に難易度が高い試験でもない
キャリアコンサルタント試験に合格し、後述する「キャリアコンサルタント名簿」への登録を経てキャリアコンサルタントとしての活動を始めるには「学科試験」「実技試験」双方をパスしなければなりませんので、現実的な合格率は「学科、実技試験を同時受験した人」の数値を参考にするといいでしょう。
直近10回分の「学科、実技試験を同時受験した人」の52.7%という平均合格率を見ても分かる通り、キャリアコンサルタント試験は決して簡単な試験ではありません。一方で52.7%という数字は、キャリアコンサルタント試験が極端に難易度の高い試験ではないことも同時に物語っています。
よって、前述の登録試験機関ごとの特色と、それぞれの出題傾向をしっかり把握した上で勉強や準備を行えば、一回で試験にパスすることもそれほど難しくはないでしょう。

 

効果的な勉強法は?

 

では、キャリアコンサルタント試験合格を目指すためには、具体的にどのような勉強を行うことが望ましいのでしょうか。

 

■過去の出題範囲から勉強のポイントを絞り込んでいく
これはキャリアコンサルタント試験に限らず、どんな試験にも言えることですが、「しっかりとポイントを絞り込んでから勉強を行う」ことが重要です。ざっくりとした出題イメージのままだと勉強のポイントを絞ることができず、時間がかかるわりに本本当に学ぶべきポイントを取りこぼしてしまうような非効率な状況になってしまいます。
よって、まずは先に詳しく述べた「過去の『学科試験』『実技試験』の出題範囲」を確認の上、その出題内容に沿った勉強を行うことをこころがけましょう。

 

■学科試験~実際の制限時間に則り過去問題を解いてみる
『定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』『日本キャリア開発協会』ともにWEBサイトで過去問題が公開されていますので、それをドリル学習のように繰り返し解いていくのも手です。
その際は実際の試験時間(学科試験:100分)を想定し、定められた制限時間に則り問題を解いてみるといいでしょう。それによって1問あたりのペース配分を意識できるようになり、実際の試験のかなり具体的にイメージできるようになります。

 

■実技試験~論述試験は過去問題、面接はロールプレイの練習で受験対策を行う
実技試験は「論述試験」(50分)と「面接(ロールプレイ)」(20分)に分かれています。
論述試験は事例記録(逐語記録)を読んだ上で、設問に対して文章で回答していくスタイルです。この論述試験に関しても『定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会』および『日本キャリア開発協会』ともに過去問題を公開しており、その中に「実技(論述)試験 問題用紙」というものがあるので、それを見れば実際の設問をかなり具体的にイメージできるようになります。
一方、「面接(ロールプレイ)」は面接形式の受け答えを行うスタイルなので、過去の
学科試験や論述試験のような過去問題や事例記録を元に勉強を重ねていく、ということができません。
それだけに「できたこと、できなかったこと」「相談者の相談目的・内容を的確にキャッチできたか(主訴)」「キャリアコンサルタントから見たクライアントの問題・課題(見立て)」「今後の具体的な支援をどう行うか」という、キャリアコンサルタント試験における面接の基本形を踏まえ、頭の中で相談者と受験生である自分とを思い浮かべながら受け答えを反復練習していくような勉強を行うとよいでしょう。この際、知り合いや家族などに相談者役となってもらい、実際に制限時間を設けてロールプレイの練習ができればなおよしです。

 

■受験対策講座を利用するのも手
資格取得系予備校や人材開発系企業、産業カウンセラーに関連した職能団体などを中心にキャリアコンサルタント試験の対策講座が実施されており、これを利用するのも一つの手です。
有料の対策講座だけに、有資格者や専任講師による質の高い指導を受けることができ、面接対策ロールプレイや口頭試問などに関しても本番に近いレベルの指導を受けることができるのが大きなメリットです。
「学科試験・論述試験・面接試験すべてにわたって1から教えてもらいたい」「実技試験に不安がある」「少しでも試験の合格率を上げたい」という方におすすめの方法です。

 

■最後の手続き、キャリアコンサルタント名簿への登録
「学科試験」「実技試験」の両方に合格した後、国の認可を受けたキャリアコンサルタント登録センターが管理を行う「国家資格キャリアコンサルタント名簿」への登録を行う必要があります。
これによってはじめて「キャリアコンサルタント」を名乗ることができるようになるのと同時に、本格的にキャリアコンサルティングの仕事を手がけられるようになります。

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