キャリアコンサルタントの年収はどれくらい?年収を上げる方法も解説
2023年09月21日
キャリアコンサルタントは、日本ではまだまだ馴染みの少ない職業です。そのため、どのくらいの年収を得られるのか想像がつきにくい人も多いでしょう。
実は、キャリアコンサルタントの年収は、就労者全体の平均年収とほぼ同じです。また、中には、上位資格を取得して高い役職につく、フリーランスとして大手企業の外部キャリアコンサルタントに就任するなどして、平均を大きく上回る年収を得ている人もいます。
この記事では、キャリアコンサルタントの年収と年収を上げる方法について解説します。また、キャリアコンサルタントについて、資格や仕事内容などの基本情報、将来性、なり方などもお伝えしますので、あわせて参考にしてください。
キャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントとは、キャリアコンサルティングを行う専門家のことです。キャリア(career)とは職業や仕事の経験・経歴を、コンサルティング(consulting)とは個人や企業などからの相談に応じ、診断・助言・指導を行うことを意味します。つまり、キャリアコンサルタントは、働く人の相談に応じ、その人らしい職業選択や職業能力開発ができるよう、援助や指導を行う人のことを指すわけです。
キャリアコンサルティングの認知度はアメリカなどの諸外国に比べ、日本ではまだまだ低いのが現状です。そのため、普段の生活の中で、キャリアコンサルタントがどういった職業なのかを知る機会はあまりないかもしれません。この章では引き続き、キャリアコンサルタントの資格や仕事内容、勤務先、雇用形態について詳しく解説します。キャリアコンサルタントについて理解を深める参考にしてください。
資格
キャリアコンサルタントと名乗って働くためには「キャリアコンサルタント試験」という国家試験に合格し、国の「キャリアコンサルタント名簿」に登録されなければなりません。
このように有資格者でなければその肩書きを名乗れない資格のことを「名称独占資格」と呼びます。名称独占資格はたくさんありますが、キャリアコンサルタントがその仲間入りを果たしたのは2016年(平成28年)のことです。日本にはむかしから、終身雇用制度や年功序列制度など、雇用に関する特有の慣習がありました。しかし、近年では、自分の時間や余暇を大切にする人や、自分らしい働き方を求めて転職する人などが増え、それまでの日本特有の慣習は崩壊してきています。自分自身でキャリア形成したいというニーズの高まりを受け、その助けとなる専門資格としてキャリアコンサルタントが誕生したわけです。
仕事内容
キャリアコンサルタントの仕事は、その人らしい職業選択や職業能力の開発ができるよう、援助や指導することです。具体的には以下のようなことを行います。
【キャリアコンサルタントの主な仕事内容】
・キャリアに対する不安や悩み相談に応じる
・キャリア形成に必要なスキルアップの手段を提案する
・適正に応じた仕事選びをサポートする
・就活に必要な書類の作成をサポートする
また、上記の仕事をスムーズに行うために「キャリアコンサルタントとしてブラッシュアップをはかる」というのも大切な仕事の1つといえます。就職や転職に関する情報は日々変化していくため、向学心を持って知識をアップデートしていくことも大切です。
就職先
キャリアコンサルタントは、一般企業やハローワーク、学校などのさまざまな場所で活躍しています。労働政策研究・研修機構の調査により、2018年(平成30年)におけるキャリアコンサルタントの主な就職先が以下の通りであったことがわかりました。
【キャリアコンサルタントの主な活動場所(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・企業:34.2%
・需給調整機関(派遣、ハローワーク、転職、再就職支援):20.2%
・学校・教育機関(キャリア教育、キャリアセンター):17.2%
・地域(地域若者サポートステーション、女性センター等):5.2%
・その他:8.3%
・なし:15.0%
最も多くの人が就職先としてあげたのが「企業」で3割強、派遣会社やハローワークなどの「需給調整機関」が2割、「学校・教育機関」が2割弱と続いています。キャリアコンサルタントの就職先が、多岐にわたることがわかるはずです。
雇用形態
キャリアコンサルタントの雇用形態には、正社員と非正規社員とがあります。また、フリーランスやボランティアとして活動する人もいます。以下は、労働政策研究・研修機構により発表された、キャリアコンサルタントの2018年(平成30年)における就労状況です。
【キャリアコンサルタントの就労状況(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・正社員:38.9%
・非正規社員:28.8%
・キャリアコンサルタントとしてフリー・自営:10.9%
・経営・管理職:7.2%
・キャリアコンサルタント以外でフリー・自営:6.3%
・キャリアコンサルタントとしてボランティア:2.0%
・キャリアコンサルタント以外でボランティア:1.9%
・無職:4.0%
最も多いのは「正社員」で4割弱、その次に「非正規社員」が3割弱と続き、「フリー・自営業」として活動する人も1割ほどいます。
なお、上記の就労状況を年代別に見ると、20〜40代は「正社員」、50代は「経営・管理職」、60代は「非正規社員」「フリー・自営」「ボランティア」、70代以上は「フリー・自営」「ボランティア」がほかの年齢と比較して多くなっています。20〜50代までは正社員として働く人が多く、60代以降は非正規社員やフリー・自営、ボランティアとして働く人が多いということです。
キャリアコンサルタントの年収
2018年(平成30年)に発表された労働政策研究・研修機構の調査報告書により、キャリアコンサルタントの年収は200万円未満〜1,000万円以上と幅広くなっていることがわかりました。
【キャリアコンサルタントの最近1年間の税込個人収入(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・なし:2.1%
・200万円未満:13.6%
・200〜400万円未満:33.2%
・400〜600万円未満:21.5%
・600〜800万円未満:14.1%
・800〜1,000万円未満:7.5%
・1,000〜1,200万円未満:4.6%
・1,200〜1,400万円未満1.7%
・1,400〜1,600万円未満:0.8%
・1,600〜1,800万円未満:0.2%
・1,800〜2,000万円未満:0.2%
・2,000万円以上:0.4%
上記のデータから、最も多い年収帯は「200〜400万円未満」で全体の3割強を、次に多いのは「400〜600万円未満」で全体の2割強を占めていることがわかります。キャリアコンサルタントの年収を考えるときは、この年収帯を目安とすれば良いでしょう。
なお、上記のデータが調査されたのと同時期における給与所得者全体の平均給与は432万円ということが、国税庁の調査によりわかっています。
【給与所得者全体の平均給与(平成29年分 民間給与実態統計調査|国税庁)】
・432万円
キャリアコンサルタントの多くが200〜600万円未満の年収を得ていることから、キャリアコンサルタントの年収は給与所得者全体の平均年収と同程度であるといえるでしょう。では、雇用形態や勤務先、年齢別に見た場合はどうでしょうか?引き続き紹介しますので、ご覧ください。
雇用形態別年収
キャリアコンサルタントの年収は、雇用形態により違いがあります。労働政策研究・研修機構から2018年(平成30年)に発表された、キャリアコンサルタントの雇用形態別年収は以下の通りです。
【キャリアコンサルタントの雇用形態別年収(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・経営・管理職:「600〜800万円未満」「800万円以上」が多い
・正社員:「400〜600万円未満」「600〜800万円未満」「800万円以上」が多い
・非正規社員:「200万円未満」「200〜400万円未満」が多い
・フリー・自営:「200万円未満」が多い
上記のデータが調査されたのと同時期における給与所得者全体の平均給与が432万円であったことから、キャリアコンサルタントが正社員または経営・管理職として働く場合は、平均と同等かそれ以上の年収を得られる可能性が高いと考えられるでしょう。一方で、非正規社員やフリー・自営として働く場合、年収は平均を下回る可能性が高くなるといえるわけです。
就職先別年収
キャリアコンサルタントの年収は就職先によっても異なります。労働政策研究・研修機構から2018年(平成30年)に発表された、キャリアコンサルタントの就職先別年収は以下の通りです。
【キャリアコンサルタントの就職先別年収(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・企業:「400〜600万円未満」「600〜800万円未満」「800万円以上」が多い
・学校・教育機関(キャリア教育、キャリアセンター):「200万円未満」が多い
・需給調整機関(派遣、ハローワーク、転職・再就職支援):「200〜400万円未満」が多い
・地域(地域若者サポートステーション、女性センター等):「200万円未満」「200〜400万円未満」が多い
上記のデータから、キャリアコンサルタントが企業で働く場合、給与所得者全体の平均年収である423万円と同等かそれ以上の年収を得られる可能性が高いと考えられます。一方で、そのほかの場所に勤務する場合、年収は平均を下回る可能性が高くなるわけです。
年齢別年収
年齢もキャリアコンサルタントの年収を左右する要素の1つです。以下は、労働政策研究・研修機構から2018年(平成30)年に発表された、キャリアコンサルタントの年齢別年収になります。
【キャリアコンサルタントの年齢別年収(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・20代:「400〜600万円未満」が多い
・30代:「400〜600万円未満」が多い
・40代:「600〜800万円未満」が多い
・50代:「800万円以上」が多い
・60代:「200万円未満」「200〜400万円未満」が多い
・70代:「200万円未満」が多い
上記のデータから、20・30代では年収「400〜600万円未満」の人が多く、40代、50代と年齢が上がるにつれて年収も上がっていることがわかります。そして、60代以降になると、今度は年齢が上がるのに反して年収は下がっていくことが読み取れます。
キャリアコンサルタントの年齢別年収がこのような数値を示す要因としては、年齢による雇用形態の変化があげられるでしょう。20〜40代くらいまでは正社員としてキャリアを重ねていき、徐々に年収が上がると考えられます。そして、50代になると管理職や経営者になる人も増えてくるためさらに年収が上がり、60代で定年を迎えてフリーや自営、ボランティアに転身して活動する人が増えると年収は下がっていくわけです。
キャリアコンサルタントとして年収を上げる方法
キャリアコンサルタントの年収は、給与所得者全体の平均年収とほぼ同じです。しかし、中には、働き方を変える、スキルアップするなど、自らの工夫や努力により平均を遥かに上回る年収を得ている人もいます。キャリアコンサルタントが年収を上げるには以下のことを行うのがおすすめです。
【キャリアコンサルタントが年収を上げるのにおすすめの方法】
・フリーランスになる・独立開業する
・マッチングサービスを利用する
・上位資格を取得する
・カウンセリング単価を引き上げる
引き続き詳しく解説しますので、将来のための参考にしてみてください。
フリーランスになる・独立開業する
フリー・自営のキャリアコンサルタントとして活動する人のうち、33.4%が年収200万円未満、34.8%が年収200〜400万円未満にとどまっています。しかし、その一方で11.8%の人は年収600万円以上を得ていることが、労働政策研究・研修機構の報告書により明らかになっています。
【フリー・自営キャリアコンサルタントの年収(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査|労働政策研究・研修機構 平成30年発表)】
・200万円未満:33.4%
・200〜400万円未満:34.8%
・400〜600万円未満:19.9%
・600〜800万円未満:5.9%
・800万円以上:5.9%
同じフリー・自営でも人により年収に差があるわけです。このような差が生まれるのは、フリー・自営のキャリアコンサルタントには「実績によりカウンセリング単価を引き上げやすい」という特徴があるからだと考えられます。やり方次第では、カウンセリング単価が決まっている雇われの身よりも高い年収を得られる可能性があるため、挑戦してみても良いでしょう。
マッチングサービスを利用する
前述の通り、キャリアコンサルタントには、フリー・自営に挑戦することで年収を上げられる可能性があります。しかし、フリー・自営を始めるにあたって問題になるのが「どうやって新規顧客を見つけるのか」ということです。
いちから顧客を探すには、実績やキャリアコンサルタント同士の横のつながりが必要になりますが、そうしたものがあまりない場合は、マッチングサービスを利用すると良いでしょう。
最近では、キャリアコンサルタント向けのマッチングサービスもあり、従業員のキャリア相談を頼みたい企業とキャリアコンサルタントとをマッチングしてくれます。フリー・自営のキャリアコンサルタントはもちろん、企業に勤務しながら副業としてキャリアコンサルタントの実績をつくりたいという人が利用できるものもあるため、検討してみてください。
上位資格を取得する
キャリアコンサルタントの上位資格として「1級・2級キャリアコンサルティング技能士」というものがあります。2級は熟練レベルのキャリアコンサルタント、1級は指導者レベルのキャリアコンサルタントと位置付けられており、どちらも取得するには指定の実務を経験した上で「キャリアコンサルティング技能検定」に合格することが必要です。
1級・2級キャリアコンサルティング技能士は、キャリアコンサルティングに関する豊富な経験と確かなスキルを持っていることの証となるため、取得しておけば、就職や転職の際にはもちろん、フリー・自営として企業と契約する際にも有利になります。年収を上げるのにも役立つため、キャリアコンサルタントとしての経験が増えてきたら取得を検討してみてください。
以下に、キャリアコンサルティング技能検定の概要についてまとめておきます。参考にしてください。
【キャリアコンサルティング技能検定について】
<受験資格>
・1級:10年上の実務経験を有するものなど
・2級:5年以上の実務経験を有するものなど
<試験回数>
・1級:年1回
・2級:年2回
<試験の形式>
・1級:学科試験(100分)、実技試験(80分)
・2級:学科試験(100分)、実技試験(60分)
どちらも学科と実技両方での合格が必要。ただし、どちらか一方のみ合格した場合は、翌々年度まで合格した試験が免除になる。
<受験手数料>
・1級:学科試験8,900円(非課税)、実技試験29,900円(非課税)
・2級:学科試験8,900円(非課税)、実技試験29,900円(非課税)
<合格率>
・1級:学科試験38.86%、実技試験:6.77%(2022年度 第12回)
・2級:学科試験58.18%、実技試験:17.72%(2023年度前期 第30回)
カウンセリング単価を引き上げる
キャリアコンサルタントの仕事は相談者のカウンセリングを基本とするため、カウンセリング単価を引き上げることが年収を上げることに直結します。カウンセリング単価の相場は、1回(60〜90分)あたり5,000〜10,000円程度です。
もちろん10,000円に近い価格に設定したほうが、同じ稼働時間でもたくさん稼げるわけですが、コンサルティングの質が伴わないと、顧客がリピートしてくれずかえって年収が下がってしまう恐れもあります。そのため、闇雲に単価を上げるのではなく、自分の実績や実力をよく考えて価格設定することが大切です。
もしも、自分の実力に見合う価格がどのくらいなのか決められないという場合は、保有資格から考えてみると良いでしょう。キャリアコンサルタント資格のみを保有する場合は5,000〜8,000円程度、キャリアコンサルティング技能士資格もあわせ持つ場合は10,000円程度に設定されていることが多いので、この価格を目安に検討してみてください。
キャリアコンサルタントの将来性
キャリアコンサルタントは将来性の高い職業といえます。2019年(平成31年)に厚生労働省から発表された「キャリアコンサルティングの現状と課題」により、企業内キャリアコンサルティングの導入割合が明らかになりました。
【企業内キャリアコンサルティングの導入割合(キャリアコンサルティングの現状と課題|厚生労働省 平成31年発表】
・大企業:5〜6割
・中小企業:2〜3割
大企業に比べて中小企業では、まだまだ導入が進んでいないことがわかります。人手が豊富にある大企業では、従業員の中からキャリアコンサルタントを養成し、企業内でコンサルティング制度を内製化することが可能ですが、人手が足りない中小企業では導入したくても諦めざるを得ないというケースが多いからです。
しかし、最近ではこうした中小企業でも、外部のキャリア支援専門団体に委託するという形で、企業内キャリアコンサルティングの導入を実現するケースが増えてきています。今後、多くのキャリアコンサルタントが企業と従業員の橋渡しとして活躍すると考えられるわけです。
また、ここ10年間で、キャリアコンサルタントの活躍の場は企業内だけでなく、医療機関や福祉施設、自治体などさまざまな領域に拡大してきています。高齢化や貧困など、さまざまな問題を抱える日本において、今後医療機関や福祉施設が拡充していくことは必至の状況です。これらの領域で活躍するキャリアコンサルタントも増えていくでしょう。
キャリアコンサルタントになる方法
キャリアコンサルタントになるためには、受験資格を取得した上で「キャリアコンサルタント試験」という国家試験に合格し、さらに国の「キャリアコンサルタント名簿」に登録しなければなりません。
【キャリアコンサルタントになる流れ】
①受験資格を取得する→②国家試験に合格する→③キャリアコンサルタント名簿に登録する
受験資格を得る方法は大きく3つに分かれており、自分の取得しやすいものを選ぶことが可能です。また、試験は学科だけでなくロールプレイを含む実技も実施されるのが特徴で、しっかりとした対策が必要になります。引き続き、受験資格の取得方法や国家試験の内容、キャリアコンサルタント名簿への登録方法について詳しく解説しますので、ご覧ください。
①受験資格を取得する
キャリアコンサルタント試験の受験資格は、以下の3つのうちいずれか1つを満たすことで取得できます。
【キャリアコンサルタント試験の受験資格】
①厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した人
②「労働者の職業の選択」「職業生活設計」「職業能力開発および向上」のいずれかに関する相談業務を3年以上経験したことがある人
③技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した人
①の「講習」は、いろいろな団体において対面やオンライン形式で開催されています。団体ごとに特徴があり、受講費用もそれぞれ異なるため、よく比較検討することが大切です。なお、2023年(令和5年)3月実施のキャリアコンサルタント試験における受験資格ごとの合格率は、講習修了者が最も高くなっています。講習を受講することで、合格する可能性を高められるでしょう。
【キャリアコンサルタント試験の受験資格別合格率(第22回キャリアコンサルタント試験結果の概要|厚生労働省)】
・講習修了者:学科82.2%、実技64.6%
・実務経験者:学科:73.3%、実技50.1%
・技能検定合格者:50%、57.1%
また、③の技能検定キャリアコンサルティング職種とは「キャリアコンサルタント資格」と、その上位資格である「1級・2級キャリアコンサルティング技能検定」のことです。どちらかの試験の学科あるいは実技に合格している場合は、試験の免除も受けられます。
②国家試験に合格する
受験資格を取得したら、キャリアコンサルタント試験に臨みます。キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣により登録された「特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協会」または「特定非営利活動法人 日本キャリア開発協会」が実施します。どちらも、試験は年3回実施し、受験申請はWebまたは郵送で行うことが可能です。申請には期日かあるため注意してください。
試験は学科と実技からなり、複数の実施日・実施地区があります。実施地区は希望する日程が定員に達すると、同地区の別日程に変えられてしまうこともあるため、早めに申請することが大切です。
試験の形式と受験料は、実施機関に関わらず一律以下の通りとなっています。
【キャリアコンサルタント試験の形式と受験料】
<学科>
・出題形式:筆記試験
・問題数・試験時間:50問・100分
・合格基準:100点満点(2点×50問)で70点以上の得点
・受験料8,900円(税込)
<実技>
・出題形式:論述試験と面接試験(ロールプレイ+口頭試問)
・試験時間:論述試験50分、面接試験20分(ロールプレイ15分+口頭試問5分)
・合格基準:150点満点で90点以上の得点(ただし、論述は配点の40%以上の得点、面接は評価区分ごとに満点の40%以上の得点が必要)
・受験料:29,900円(税込)
学科の筆記試験は、四肢拓一のマークシート方式になります。実技の論述試験は記述式で行われ、事例記事を読んで設問に解答していきます。面接試験の内容は、実際のキャリアコンサルティングの場面を想定した「ロールプレイ」と、試験管からの質問に答える「口頭試問」です。
なお、キャリアコンサルティング協会により実施された、2023年(令和5年)3月および7月の試験における合格率は以下の通りでした。
【キャリアコンサルタント試験の合格率(第22・23回キャリアコンサルタント試験 試験結果|特定非営利活動法人 キャリアコンサルティング協会)】
<第22回>
・学科試験:82.2%
・実技試験:65.3%
・学科・実技試験両方:59.3%
<第23回>
・学科試験:82.2%
・実技試験:64.4%
・学科・実技試験両方:61.2%
学科・実技両方の合格率は、どちらも60%前後となっています。この数値は、相談や面談などを行うほかの心理職系国家資格と比べると非常に高く、キャリアコンサルタント資格の取得難易度は低いといえます。講習などでしっかりと対策しておく必要はありますが、実務経験のない人や初学者でも十分合格を狙えるでしょう。
③キャリアコンサルタント名簿に登録する
試験に合格するだけでは、キャリアコンサルタントとして活動することはできません。合格後、国が定めた「キャリアコンサルタント名簿」に登録することで、始めてキャリアコンサルタントと名乗って仕事ができるようになります。
キャリアコンサルタント名簿への登録は、必要書類や登録手数料などを「キャリアコンサルタント登録センター」に提出するという方法で行います。登録の手順は以下の通りです。
【キャリアコンサルタント名簿への登録手順】
①「キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター」にアクセス
②Webマイページを申請
③キャリアコンサルタント登録申請書一式(登録免許税9,000円の収入印紙含む)を登録センターに郵送
④登録センターで登録申請書一式を受理し、内容を審査
⑤登録手数料(8,000円・非課税)の支払い
⑥登録証の郵送
申請から手元に登録証が届くまでには2ヶ月程度かかります。また、登録の期限はなく、時間が経っても試験に合格した事実は無効になりませんが、合格後5年経過すると登録前に講習の受講が必要になるため、早めに申請するのがおすすめです。
なお、キャリアコンサルタント名簿への登録を継続するためには、5年ごとに更新講習を受ける必要があります。講習はA(知識講習)とB(技能講習)の2種類で、講習時間はAが8時間以上、Bが30時間以上です。更新申請は登録証の有効期間満了日の90〜30日前までの間にできますので、登録証をこまめにチェックして、忘れずにこの期間内に申請しましょう。
キャリアコンサルタントを目指せる「日本医歯薬専門学校」
キャリアコンサルタント試験を受験するためには「講習を修了すること」「指定の相談業務を3年以上経験すること」「技能検定キャリアコンサルティング職種の試験に合格すること」のいずれかが求められます。
このうち、これからキャリアコンサルティングの勉強を始めようとする人に当てはまるのは「講習を修了すること」のみです。そのため、この記事をご覧になっている方の多くが「どこで講習を受ければいいのか」と疑問に思っているのではないでしょうか。
講習はいろいろな団体で受講できますが、日本医歯薬専門学校の「社会福祉士・キャリアコンサルタント養成学科(※)」もその1つです。社会福祉士・キャリアコンサルタント養成学科(※)には以下のような特徴があり、プラスアルファの資格取得を目指したい人や仕事・家庭と勉強を両立したい人、取得した資格を活かせる職場に就職・転職したい人に、特におすすめとなっています。
【日本医歯薬専門学校「社会福祉士・キャリアコンサルタント養成学科(※)」の特徴】
・「キャリアコンサルタント」と「社会福祉士」を同時に目指せる
・平日夜間の2コマ授業で社会人でも受講しやすい
・就職サポートが充実している
スタッフ一同、キャリアコンサルタントを目指すみなさんを全力でサポートいたしますので、以下のリンクから学科詳細をご覧いただけますと幸いです。
まとめ
キャリアコンサルタントの年収は、給与所得者全体の平均年収と同じくらいです。また、現在キャリアコンサルタントの多くが大手企業で働いていますが、今後その活動領域は中小企業や医療機関、福祉施設、自治体などへ広がっていくと予想されています。需要の高まりに応じて今後年収が上がる可能性があるというのも、キャリアコンサルタントの大きな魅力の1つです。
キャリアコンサルタント試験の難易度はそれほど高くありません。初学者でも十分合格を目指せますので、興味がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。日本医歯薬専門学校では、初学者の方が安心してキャリアコンサルタントを目指せる講習をご用意しています。ぜひ利用を検討してみてください。
※2024年度の開始に向けて認可申請中です
※提携教育機関が開講する認定講習の併修により、キャリアコンサルタント試験の受験資格を取得します