【2024年最新版】歯科衛生士の国家試験は難しい?合格率や過去問題も紹介
歯科衛生士になるには、国家試験に合格しなければいけません。国家試験と聞くと、とても難しい試験だと思う人もいます。ですが、学校で学んだことをきちんと理解し、真面目に勉強すれば合格できる試験です。そこで今回の記事では、歯科衛生士の国家試験について解説します。合格率や過去問を確認して、難易度を見ていきましょう。まずは、国家試験の概要について解説します。
目次
・歯科予防処置
・歯科保健指導
・歯科診療補助
・試験日
・受験会場
・試験科目
・受験資格
・受験手続き
・合格発表日
・実際に出題された過去問
歯科衛生士の業務内容について
歯科衛生士の業務の目的は、患者さんの歯の健康を守り、むし歯(虫歯)や歯周病にならないために予防、指導を行っていくことです。患者さんがむし歯(虫歯)や歯周病にならないためにも、歯科衛生士の活躍が期待され、今後も注目される職種のひとつといえます。歯科衛生士の具体的な業務内容についてみていきましょう。
●歯科予防処置
歯科衛生士の主な業務の1つ目は、歯科予防処置になります。歯科予防処置とは、患者さんがむし歯(虫歯)や歯周病にならないために、歯に薬を塗ったり、歯石を除去したり、予防処置を行うことをいいます。
●歯科保健指導
歯科衛生士の主な業務の2つ目は、歯科保健指導になります。歯科保健指導とは、患者さんが適切な口腔ケアの知識を持ってもらうため指導を行います。具体的には、適切な歯磨きの指導を行ったり、食生活の指導を行ったりします。
●歯科診療補助
歯科衛生士の主な業務の3つ目は、歯科診療補助になります。歯科診療補助とは、歯科医師がスムーズに診療できるようにサポートを行うことをいいます。器具の受け渡しや、バキュームで唾液を吸い取る作業などがこれにあたります。
歯科衛生士の国家試験について
歯科衛生士の国家試験を受けるには、国が指定した学校に通い、必要なカリキュラムを受講した者が受けられます。学校に通わず独学で、国家試験を受験できないのでご注意ください。まずは、試験日や試験会場、試験科目、受験資格、受験手続などを解説していきます。
▣ 試験日
歯科衛生士の試験は、毎年3月に行われており、令和6年の試験では3月3日に予定されています。年に1回しかない試験であるため、受験者は大きなプレッシャーを感じつつ、試験を受けることになります。
▣ 受験会場
令和6年度の試験の受験会場は、北海道、宮城県、新潟県、東京都、広島県、愛知県、大阪府、福岡県、香川県、沖縄県です。受験会場でない都道府県の人たちは、近くの都道府県に受けに行く必要があり、前泊をしなければいけない人もいます。
▣ 試験科目
試験科目は、人体の構造と機能(歯や口腔は除外)、歯や口腔の構造と機能、口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み、疾病の成り立ちおよび回復過程の促進、臨床歯科医学、歯科衛生士概論、歯科保健指導、歯科予防処置論、歯科診療補助論です。
試験科目は多いですが、これらの座学は学校できちんと学ぶため、勉強すればそれほど難しくはありません。
▣ 受験資格
受験資格は以下のとおりになっています。
- 文部科学大臣の指定した歯科衛生士の学校を卒業または卒業見込みのある者
- 都道府県知事の指定した歯科衛生士の養成所を卒業または卒業見込みのある者
- 外国の歯科衛生士学校を卒業または外国で歯科衛生士の資格を得た者、厚生労働大臣が上記の2つと同等以上の知識、技能を有すると認めた者
国家試験を受験できるのは、基本的には学校を卒業または卒業見込みのある者です。卒業単位が足りない場合は国家試験を受験できません。
▣受験手続き
受験を受けるには、いくつか書類を提出しなければいけません。主には、受験願書、写真、卒業証明書または卒業見込み証明書などです。受験願書は歯科衛生士法施行規則様式第六号により作成し、必要事項を記入する必要があります。写真は、6か月以内に撮影された写真が必要です。受験手続きに必要な書類等は厚生労働省の公式ホームページで確認してください。
▣合格発表日
合格発表は、毎年3月下旬に行われ、令和6年の合格発表日は令和6年3月26日(火曜日)となっております。一般財団法人歯科医療振興財団の公式ホームページもしくは厚生労働省の公式ホームページに掲載されます。
歯科衛生士の国家試験の合格率について
歯科衛生士の国家試験の合格率は、例年90%以上を超えています。90%を超えるので比較的難易度は低く、学校で学んだ知識をきちんと理解していれば、不合格となることはないでしょう。
令和4年の合格率が95.6%、令和3年の合格率が93.3%、令和2年の合格率が94.3%、平成31年の合格率が96.2%、平成30年度の合格率が96.1%となっています。合格率が高い背景には、歯科衛生士の需要の高さが関係しています。近年歯の健康について注目されているので、歯科衛生士の活躍が期待されています。多くの方に歯科衛生士になってもらいたいので、合格率が高いともいえます。
歯科衛生士の試験に合格すると、指定機関に登録や申請を行い、歯科衛生士免許書が発行されます。国家試験は年に1回しか受験できないため、一発で合格できるように準備を進める必要があります。
ほかにも同じ医療系国家資格で、眼の検査・訓練のスペシャリスト「視能訓練士」という職業もあります。視能訓練士の国家試験合格率も歯科衛生士と同様に95.2%と比較的高く需要の高い医療系資格となっています。
歯科衛生士の国家試験の試験問題や過去問について
歯科衛生士の試験は、マークシートによる選択問題です。試験は1日かけて行われ、午前の部で2時間30分、午後の部で2時間30分、問題の合計数が220問となっています。合格基準は事前には告知されず、合格発表後に掲示されます。合格するには、6割以上の正答が必要で、それ以下であると不合格になる可能性が高いです。過去に出題されたことのある過去問についてみていきましょう。
【実際に出題された過去問】
実際に過去に出題された問題をいくつか紹介します。
1.歯石により増加する歯周病リスクはどれか。
A:食片圧入 B:色素沈着 C:外傷性咬合 D:プラーク沈着
正解 D:プラーク沈着
2.女性が健康相談会場で上顎前歯の形態異常を相談された。口内観察を実施すると、前歯部に歯の損耗がみうけられた。原因として考えられるものを2つ選べ。
A:口呼吸 B:歯ぎしり C:抗菌薬の服用 D:管楽器の演奏
正解 B:歯ぎしり D:管楽器の演奏
3.口臭症分類で高頻度にみられるのは次のうちどれか。2つ選ぺ。
A:生理的口臭 B:口臭恐怖症 C:全身由来の病的口臭 D:口腔由来の病的口臭
正解 A:生理的口臭 D:口腔由来の病的口臭
4.ブラッシング法で正しい組合せはどれか。
A:バス法–毛の脇腹を利用 B:ローリング法–小児や高齢者に適応 C:スクラビング法–唇頬面で円を描く運動 D:スティルマン改良法–歯肉マッサージ効果
正解 D:スティルマン改良法–歯肉マッサージ効果
5.現在歯を20歯以上有する者の割合が示されているのはどれか。
A:患者調査 B:受療行動調査 C:歯科疾患実態調査 D:国民生活基礎調査
正解 C:歯科疾患実態調査
6.介護保険制度で介護予防プログラムに含まれているものはどれか、2つ選べ。
A:栄養改善 B:訪問歯科診療 C:歯周疾患検診 D:口腔機能向上
正解 A:栄養改善 D:口腔機能向上
7.学校歯科健康診断のCOで正しいのは次のうちどれ。
A:学校で保健指導を行う B:精密検査を勧める C:歯石除去を勧める D:治療勧告を行う
正解 A:学校で保健指導を行う
8.歯磨剤の基本成分はどれか。次の内から選べ。
A:グリセリン B:塩化リゾチーム C:乳酸アンモニウム D:グリチルリチン酸
正解 A:グリセリン
以上が過去に出題されたことのある問題になります。これらの問題は学校の座学の授業で学ぶため、きちんと理解しておかなければいけません。歯科衛生士になるには、座学の勉強だけでなく実技の練習もとても大切です。座学と実技の両方を身につけ、卒業したら即戦力として働ける歯科衛生士をめざしていきましょう。
まとめ
歯科衛生士の国家試験は、真面目に勉強すればそれほど難しくありません。一度も歯科衛生士の内容を勉強していなければ難しいですが、学校できちんと学習するため、それほど不安に思う必要はないでしょう。合格率も90%以上もあるため、日頃の勉強を頑張っていけば合格できます。
国家試験に合格するには、過去問を何度も解くようにしましょう。毎年似たような問題が出題されるため、過去問対策が効率よい勉強方法といえます。わからない問題はそのままにせず、学校の先生や友達に教えてもらいながら、ひとつひとつ学んでいきましょう。歯科衛生士をめざしている方はぜひ参考にしてみてください。